岡田悦子先生


プロフィール

大学在学中に通訳の授業を受講するが、通訳にはならず、放送局に就職。報道局で番組制作に従事する。退職後、本校に通い、会議通訳者になる。現在、環境・エネルギー、政治経済、IT、ビジネスなどの分野の同時・逐次通訳を行っている。

メッセージ

「通訳者」といえば「英語力の高い人」というイメージが強いと思います。英語の理解力や表現力が求められるのは確かです。でも、同時に重要なのは内容に関する知識です。「内容で勝負よ」と、土曜学校創立者の斎藤美津子先生も常におっしゃっていました。
金融は苦手とか、ITはちょっと…とか思っているあなた! それでは自分の可能性を狭めることになります。誰にも苦手分野はあります。どうしたら克服できるか。それは敢えてその分野の勉強をすることです。
土曜学校では毎週さまざまな教材を使います。通訳の実力向上に役立つものばかりです。
私も世の中の潮流を考えて、少し先を見越した教材選びを心掛けてきました。2010年はクラウドコンピューティング、生物多様性、イクメン。今年最初の学期では高速鉄道輸出と日本経済の今後を取り上げました。次回は何にしようか、今からアンテナを張って探しています。
複数のトップ通訳者が選んだ教材を使っているので、10回を終えるころには多岐にわたるテーマを勉強したことになります。
私は通訳を始めて間もないころ、先輩に「コンピュータ関連の仕事を紹介してあげる」と言われ、内心「まずい!」と思いつつ、「お願いします」と言ってしまいました。その後、必死に勉強したのは言うまでもありません。お蔭で今ではITの仕事を頻繁にしています。
苦手もあるでしょうが、土曜学校をきっかけに苦手意識を無くし、ひいては「得意」分野にまで高めていければと思います。同じ志を持つ仲間、そして講師の私たちと共に自らの可能性を広げていきましょう。

北島多紀先生


プロフィール

大学時代から通訳の授業を履修しながら、土曜日には土曜学校にも通っていました。
大学卒業とともに通訳者として仕事をはじめ、工場での技術研修や視察団の同行通訳、放送通訳などから経験を積む機会を得、現在では国際会議やシンポジウムなどの同時/逐次通訳、商談など、さまざまな場面でコミュニケーションの橋渡しのお手伝いをさせていただいています。
大学で非常勤講師として学生さんたちの通訳の授業も担当していますが、土曜学校ではプロを目指す方たちも多く、より現場に近い実践的な授業を心掛けています。

メッセージ

通訳者は「話し手のメッセージを、聞き手にも響くように伝える」役割を担っています。
プロの通訳者として通用するためには、通訳の技術的な技能はもちろんですが、準備のプロセスからお客様や他の通訳者との連携、聴衆とのダイナミクス、通訳者本人の人間性にいたるまで、さまざまな要因がかかわってきます。
通訳者には、それらをすべて総合した高い「トータルパフォーマンス」が求められるのです。
私たち講師陣は、そうした理念を踏まえ、通訳の現場での豊富な経験をベースに、さまざまな分野の教材を使って授業に臨んでいます。受講生の皆さんの向上心が非常に高く、講師のほうも真剣勝負です。でも、クラスの雰囲気はとても和やかです。自分だけではなく、共に学びながら一緒に成長したい、というスピリットに溢れていると感じます。私自身が受講生の皆さんから教えてもらうこと、学ぶことも多いです。
講師としては、できるだけ旬の教材を選び、通訳のスキル向上とともに時事問題への理解も深めていけるよう工夫しています。例えば先学期(2010年度冬学期)の最後の授業では、前週に発生した東日本大震災による原子力発電所の事故の問題を取り上げ、用語等の確認をしてから通訳に挑戦しました。
プロを目指している方、土曜学校でトータルな意味での実力をつけ、デビューすることは夢ではありません。プロを目指していなくても、講師やクラスメートの話を聞く機会も多くあるこの学校で、たくさんの刺激を受けることは間違いありません。
ぜひ、一緒に通訳の奥深い世界を経験しましょう!そしてより良い社会のために、世界の平和のために、通訳者として役に立てる日を実現させましょう!